ハイスピードカメラの選び方|選定のポイントや計測に必要なスペックまとめ

ハイスピードカメラとは?

ハイスピードカメラで撮影_鳥が羽ばたく瞬間

ハイスピードカメラとは、通常のカメラでは捉えることができない高速な動作を撮影するためのカメラです。一般的に、1秒間に数百~数万コマ(フレームレート:fps)の画像を撮影することができ、肉眼では見ることができない一瞬の動きをスローモーションで観察することができます。

現象に合わせて最適な1台を選ぶ

計測市場だけでも50種類を超えるモデルが流通するハイスピードカメラ。モノクロ/カラー、画像サイズ、撮影速度、感度、筐体サイズ、価格など、選ぶ基準は多岐にわたります。撮影したい現象に適切なカメラを選ばないと、不明瞭な画像しか取得できず、目的を達成できません。

そこで本サイトでは、ハイスピードカメラを選ぶ際に特に考慮すべきポイントと、現象を分析するのに必要な撮影速度の目安をご紹介します。


ハイスピードカメラを選ぶ際の要素

フレームレート(fps:frame per second)

フレームレートは、カメラが1秒間に撮影できる画像の枚数を表す単位です。1秒あたりの静止画の枚数とも呼ばれます。フレームレートが高いほど、撮影される画像は滑らかになり、高速な動作を正確に捉えることができます。

ハイスピードカメラは、通常のビデオカメラ(30fpsや60fps)よりもはるかに高速なフレームレートで撮影できます。一般的には数千~数百万fpsの範囲で撮影が可能です。

高いフレームレートで撮影できるカメラは、衝撃試験、流体力学、航空宇宙分野、スポーツの運動解析など、高速の現象を捉える必要がある研究で活用されます。

人間の視覚とハイスピードカメラのフレームレート比較

種類 フレームレート[fps] 捉えられる動き
人間の視覚 約24fps 動きが速いものはぼやけて見える
ビデオカメラ 30fps 日常的な動作は問題なく撮影できる
ハイスピードカメラ 数百~数百万fps
※さらに高いfpsで撮影できるものもある
高速な動作や現象をスローモーションで観察できる

解像度(pixel, 画素)

水泳選手の低解像度画像_ハイスピードカメラで撮影

低解像度

水泳選手の高解像度画像_ハイスピードカメラで撮影

高解像度

画像の細かさや精細さを表す数値

解像度は、カメラが撮影する画像の細かさや精細さを示す数値です。一般的に、水平方向と垂直方向の画素数の組み合わせで表現されます。例えば、1920×1080の解像度の場合、水平方向に1920画素、垂直方向に1080画素の画像を撮影できます。

解像度が高いほど、撮影される画像はより鮮明で、ディテールが豊富になります。これは、より多くの画素情報が記録されるためです。

解像度の例

ハイスピードカメラの解像度は、用途や性能に応じて様々なレベルがあります。

  • VGA(640×480):標準的な画質
  • HD(1280×720):高画質
  • Full HD(1920×1080):フルハイビジョン
  • 4K(3840×2160):Ultra HD

高解像度のカメラは、研究や開発、映像制作など、細かいディテールが重要な用途で求められます。

フレームレートと解像度はトレードオフの関係

解像度とフレームレートは、互いに影響し合い、トレードオフの関係にあることがほとんどです。高解像度の撮影ではフレームレートが低くなることが一般的で、両方の性能を同時に向上させることは、技術的・リソースの制約から困難です。

高解像度の撮影では、一枚の画像に含まれる画素数が多く、その分データ量が大きくなります。ハイスピードカメラは大量のデータを高速で処理する必要があるため、カメラのセンサーやプロセッサのスペックが要求されます。しかし、処理速度が追い付かない場合、フレームレートが低下してしまいます。

一方で、高いフレームレートで撮影するためには、短時間で大量の画像データを記録する必要があります。記録メディア(内蔵メモリやSDカードなど)やデータ転送速度に限界があるため、解像度を犠牲にしてフレームレートを向上させることが一般的です。

このように、解像度とフレームレートは相反する性能であり、用途に応じた適切なバランスを見極めることが重要になります。例えば、スポーツ科学では選手の動きを詳細に分析するために高解像度が求められる一方、工業分野では製品の動作を高速で観察するために高フレームレートが求められます。

イメージセンサー

ハイスピードカメラのイメージセンサー

カメラの「目」

カメラのイメージセンサーは、レンズを通して入ってきた光を電気信号に変換する役割を持つ半導体素子です。人間の目の網膜に相当する部分であり、写真の画質を決定する重要な要素です。

イメージセンサーの仕組み

1.光を捉える
レンズを通して入ってきた光は、イメージセンサーの表面にあるマイクロレンズで集められます。

2.光を電気信号に変換する
集められた光は、各画素に配置されたフォトダイオードで光電変換によって電気信号に変換されます。

3.デジタルデータに変換する
各画素から発生した電気信号は、集積回路を経由してデジタルデータに変換されます。

4.画像を生成する
デジタルデータは画像処理エンジンで処理され、最終的に画像として出力されます。

センサーの種類

CMOSセンサー(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)
CMOSセンサーは、低消費電力で高速なデータ読み出しが可能なため、ハイスピードカメラによく用いられます。また、製造コストが比較的低く、近年の技術進歩により高画質化が進んでいます。

CCDセンサー(Charge-Coupled Device)
CCDセンサーは、高画質でノイズが少ない画像が得られる特徴がありますが、消費電力が多く、データ読み出し速度が遅いため、ハイスピードカメラにはあまり用いられません。一部の高精細な用途や低速撮影を目的としたカメラでは使用されることがあります。

センサーサイズとは?

センサーサイズは、カメラのイメージセンサーの寸法を示すものです。撮影される画像の品質に大きく影響し、画質、ダイナミックレンジ、低照度性能などを決定する重要な要素となります。

センサーサイズが大きいほど、画素が大きくなり、より多くの光を集めることができます。その結果、ノイズが少なく、高画質な画像を撮影することができます。また、ダイナミックレンジが広くなり、明暗部の階調表現も豊かになります。

照明

ハイスピードカメラ用の光源

フリッカーの無い光源を選ぶ

ハイスピードカメラは通常のカメラと比べて、高速でシャッターを切るため、画像が暗くなります。そのため、明るく現象を捉えるために十分な光量が必要です。一般的に、LEDやハロゲンランプ、メタルハライドランプなどの高出力な光源が使用されます。

フリッカーとは、光源の点滅のことを指します。人間の目には見えなくても、ハイスピードカメラでは縞模様状に写ってしまうことがあります。そのため、フリッカーのない安定した光源を選ぶことが重要です。流体計測で用いられるPIV(粒子画像流速測定法)では、シート状のレーザー光を照射する「レーザーシート光源」が必要になります。

ハイスピードカメラは、シャッター速度が速いため、適切な光量を確保することが重要です。過剰な光量で撮影すると、過度な露出や反射の原因となり、うまく観測できないことがあります。照明の位置や角度、出力を調整して、適切な光量を調整します。

レンズ

ハイスピードカメラ撮影用のレンズ

ハイスピードカメラのレンズ選定

ハイスピードカメラのレンズ選定は、カメラを使用する目的や環境に依存します。開放F値、焦点距離、最短撮影距離、撮影範囲、そしてレンズのマウントタイプを考慮して選定します。レンズの明るさを示す開放F値は、高速でシャッターを切る(暗くなる)ハイスピードカメラには特に重要になります。

  • 開放F値:数値が低いほど明るい
  • 焦点距離:レンズ中心からイメージセンサーまでの距離、撮影範囲に関連
  • 最短撮影距離:レンズがピントを合わせられる限界距離
  • レンズマウント:カメラによって選定(例:Fマウント、Cマウント、EFマウントなど)

レンズの種類にも注目

レンズの種類にも注目が必要です。標準レンズ、マクロレンズ、望遠レンズなど撮影したい被写体やシーンに応じて適切なレンズを選ぶことが重要です。

被写体に近づく(接写)撮影が多い場合はマクロレンズ、遠くの被写体を撮影したい場合は望遠レンズが適しています。レンズの解像力や光学性能も画像のクオリティに直結するため、目的にあった性能を持つレンズを選びます。

ハイスピードカメラの潜在能力を最大限に引き出すために

ハイスピードカメラのスペックには、解像度や記録時間、モノクロかカラーなど撮影したい現象に対応しているかどうかが重要です。こういった要素を総合して、最適なレンズを選ぶことがハイスピードカメラの能力を最大限に引き出し、高品質な撮影を実現できます。

撮影環境

ハイスピードカメラで撮影する室内の環境

被写体を際立たせる背景

ハイスピードカメラで被写体を鮮明に捉えるためには、背景の色や素材を適切に選ぶことが重要です。一般的に、被写体とのコントラストを強調する無地の背景が推奨されます。特に、PIV(粒子画像流速測定法)では粒子像(トレーサー粒子)を明確に捉えるために、背景を黒くするなど工夫が必要です。

カメラが動いてしまうと計測できない

ハイスピードカメラで高速な現象を撮影するには、カメラの安定性も重要です。カメラが動いてしまうと、映像がブレてしまい、現象を正確に観測することができません。三脚や固定治具を使用して、カメラをしっかりと固定する必要があります。

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温度と湿度も注意

ハイスピードカメラは、カメラ本体や照明が発する熱によって映像の品質が低下(ノイズが増える)することがあります。また、高湿度の環境ではレンズの曇りやカメラ内部の結露が発生する場合があります。適切な温度と湿度を維持することで、高品質な映像を得ることができます。


ハイスピードカメラの計測で必要な撮影速度

ハイスピードカメラで撮影を行い、人の眼で挙動を確認するだけならば、撮影速度をそこまで考慮する必要はありません。モーションキャプチャーやPIVなど画像計測を行う場合には、フレーム間の動き(変位)を抑えて撮影する必要があります。現象に応じた十分な時間分解能が必要となり、適切にハイスピードカメラの撮影速度(fps)を設定していきます。

以下で画像計測に必要なハイスピードカメラの撮影速度の目安を事例とあわせてご紹介いたします。
※数値はあくまで目安です。

スポーツ(運動解析)

野球のスイングをハイスピードカメラで撮影

野球のスイング
フレームレートの目安:2000fps
撮影範囲:1.8m  スイングスピード:約130m/hの場合

ゴルフのインパクトをハイスピードカメラで撮影

ゴルフのインパクト
フレームレートの目安:30000fps
撮影範囲:30cm  スイングスピード:約50m/sの場合

スポーツにおけるハイスピードカメラの撮影は、画像計測を行うか?計測は行わず、現象を目視で確認するのみか?によって選び方が変わります。例えば、プロ野球放送で流れるスイングリプレイの映像では、200~300fps程度で撮影されています。一方で、画像計測(モーションキャプチャー)を行うためには、より細かく高いフレームレートで撮影をする必要があります。

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流れの可視化・PIV(流体解析)

レーザーシートによる流れの可視化_ハイスピードカメラで撮影

風洞実験  ※撮影協力:東京理科大学 石川 仁 先生 青野 光 先生
フレームレートの目安:2000fps
撮影範囲:500mm  流速:10m/sの場合

レーザーシートで液相を可視化

水路実験
フレームレートの目安:6000fps
撮影範囲:50mm  流速:3m/sの場合

PIVでは、前フレームの粒子パターンと比較することで、粒子画像の移動量を算出します。一般的に、1画面あたりの移動量は10ピクセル以下に抑えることが推奨されています。そのため、流体の速度に合わせて、ハイスピードカメラの撮影速度を設定する必要があります。

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衝撃波の可視化

ノズルからの衝撃波を可視化_ハイスピードカメラで撮影

大気中の衝撃波

フレームレートの目安:400000fps
撮影範囲:80mm
伝播速度:340m/sの場合

衝撃波は、大気中で約340m/s、水中では約1500m/sで伝播します。シュリーレン法で観測しようとする場合、限られた観測空間内で衝撃波の輪郭を捉える必要があります。非常に高速で伝播する衝撃波を鮮明に捉えるには、高いフレームレートで撮影する必要があります。

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溶接の可視化

レーザー溶接のクリーニング_ハイスピードカメラで撮影

レーザー溶接の溶融池を可視化
フレームレートの目安:20000fps
撮影範囲:20mm 

CO2溶接のシールドガスを可視化

炭酸ガス溶接のシールドガス流れ
フレームレートの目安:5000fps
撮影範囲:100mm

溶接の画像計測は、現象によって必要なフレームレートが大きく変わってきます。局所的な撮影が多いため、現象をはっきりと捉えるには、拡大して撮影しなければなりません。拡大撮影を行うと、画面内で被写体の速度が相対的に速くなります。そのため、画像計測を行うためには、ハイスピードカメラのフレームレートを高く設定する必要があります。

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ハイスピードカメラ機種別の撮影事例

ハイスピードカメラ機種別に撮影事例とフレームレートの目安を紹介します。
※数値はあくまで目安です。事例に合わせてデモをお受けしております。お気軽にご相談ください。

ハイスピードカメラflux k-240

ハイスピードカメラflux_k-240_製品画像

フレームレートの目安:1,000fps~

ハイスピードカメラk9

ハイスピードカメララインk9本体

フレームレートの目安:5,000fps~

  • 自動車衝突試験
  • 落下試験
  • 昆虫の挙動
  • 切削加工
  • 着火・発火現象
  • PIV(秒速10m以下の現象) など

ハイスピードカメラk5

ハイスピードカメララインk5本体

フレームレートの目安:10,000fps~

  • 燃焼・爆発
  • スポーツ(局所的な速い動き)
  • 溶接
  • レーザー加工
  • 金属加工
  • PIV(秒速20m以下の現象) など

ハイスピードカメラPhantom VEO series

ハイスピードカメラPhantomVEO_series

フレームレートの目安:100,000fps~

  • 燃焼・爆発
  • 衝撃波
  • キャビテーション
  • 金属の破断(引張試験)
  • PIV(秒速100m以下の現象) など

ハイスピードカメラPhantom TMX series

ハイスピードカメラPhantom_TMX_sereis

フレームレートの目安:1,000,000fps~

  • 燃焼・爆発
  • 衝撃波
  • キャビテーション
  • 金属の破断(引張試験)
  • PIV(秒速100m以下の現象) など

ハイスピードカメラの感度(ISO感度)

ISO感度が高いと明るく撮影できる

光受光量と画質への影響

カメラの「ISO感度」は、イメージセンサーが光をどれほど受光しやすいかを示す数値です。数値が高いほど、暗い場所でも明るく撮影できますが、ノイズと呼ばれる粒状の模様が目立ちやすくなります。

ISO感度と設定の関係

ISO感度が高い
  • 明るい場所で撮影できる
  • シャッタースピードやfpsを高く設定できる
  • ノイズが目立ちやすくなる
ISO感度が低い
  • 暗い場所では撮影が難しい
  • シャッタースピードやfpsを低く設定する必要がある
  • ノイズが目立ちにくい

画像計測におけるISO感度

画像計測では、被写体の動きを正確に捉えるために、高速シャッター撮影が必要となります。そのため、ISO感度を高く設定することが重要になります。ただし、ISO感度が高すぎるとノイズが目立ちやすくなり、計測精度が低下する可能性があります。

撮影目的や環境に合わせて、適切なISO感度を選択することが重要です。暗い場所での撮影では、ISO感度を高く設定して明るさを確保します。ノイズの影響を受けやすい被写体を撮影する場合は、ISO感度を低く設定して画質を優先します。

感度が高すぎるとノイズが多くなる可能性も

PIVの粒子画像_ISO感度が高い

ISO感度が高い(明るい粒子画像)
※上図はPIVの粒子画像です

PIVの粒子画像_ISO感度が低い

ISO感度が低い(暗い粒子画像)

ISO感度が高いと画像にノイズが多くなる可能性があります。画像計測の場合、ノイズが増えることで計測の精度が悪くなり、正しい結果を算出できないことがあります。上図の場合では、右の暗い画像の方が正しく計測できる場合もあります。

ISO感度の種類

ISO感度は大きく3種類に分類されます。

  • 基準感度:イメージセンサーが持つ固有のISO感度(ベース感度)
  • 常用感度:ノイズの量が許容できる範囲内のISO感度
  • 拡張感度:常用感度の範囲を超えたISO感度(無理やり明るさを引き上げた感度)

上記3種類のISO感度とは別に、デジタルカメラ用の定義として”推奨露光指数(REI)”と標準出力感度(SOS)”があります。標準出力感度(SOS)は、所定の条件で静止画を撮影した際、デジタル出力値を取得するために必要な入力露光量を求めて換算したものです。

※狭義的な定義として、タングステン光をセンサーに照らし、
飽和状態に達するまでの時間から算出する”ISOsat”と呼ばれる手法もあります。

異なるメーカーではISO感度を比較できない

各メーカーが、ハイスピードカメラのスペックとしてHPに記載するISO感度は、それぞれ異なる基準・表記方法を採用しており、適正露出に対する考え方に違いがあります。そのため、一概に異なるメーカーでISO感度を比較することはできません。

  • A社 ISO感度 32000
  • B社 ISO感度 16000

一般的にISO感度32000のA社の方が、優れた受光感度を持っているハイスピードカメラと想像できますが、ISO感度16000表記のB社の方がノイズが少なく画像計測に適した撮影ができる場合があります。

画素数の違いによる感度への影響

ハイスピードカメラの低画素素子のイラスト

低画素の素子(光を受ける面積が大きい)

ハイスピードカメラの高画素素子のイラスト

高画素の素子(光を受ける面積が小さい)

画像計測における解像度(画素数)は、とても重要な要素となります。一般的に画素数が多ければ多いほど、空間分解能が高くなり、高精細な計測ができます。しかし、高解像度(画素数が多い)のカメラは画像計測にとって、ウィークポイントになる要素も備えています。

センサーサイズの大きさが同等で、画素数が違うカメラの場合、高解像度モデルの方が感度は低くなります。高画素カメラのイメージセンサーは一つ一つの受光素子が小さく、受け取る光の量も小さくなります。暗いところでの撮影に弱くなるため、ノイズが乗りやすく、かえって画質が悪くなる場合があります。

画素数にこだわり過ぎて、被写体が暗くて写らなければ画像計測どころではありません。加えて、画像計測はハイスピード撮影を行うことも多く、fps(フレームレート)を上げることでさらに画像が暗くなります。(一方で、建造物や風景、美術品など細部表現が重要な画像を撮影する時は、高画素カメラのメリットが発揮されます)

カトウ光研では、カメラの感度・適切な解像度などデモで確認をすることができます。どうすれば画像計測に最適な映像を得ることができるか?ノウハウまでしっかりとご案内いたします。ユーザーの方々には、事業所圏内やリモートであれば無償で常時ご案内させていただいております。


ハイスピードカメラのカラーとモノクロの違い

モノクロの方が明るく撮影できる

ハイスピードカメラは、カラーとモノクロの2種類のイメージセンサーがあります。カラーのカメラは、色情報の表現が多彩なため、人に情報を伝えやすく、現象を観察することを主目的とした映像資料・広告映像に適しています。また、色情報から画像解析を行う手法もあり、計測用途での使用も多く事例があります。

しかし、画像計測の分野ではモノクロのカメラが使用の大半を占めています。カラーカメラに比べて、受光感度が高く、低照度下(暗い環境)での撮影や、光量が必要な高速撮影に適しているためです。

カラー化されたデータは容量が3倍に

ハイスピードカメラのベイヤーフィルタのイラスト

一般的にカラータイプのイメージセンサーには、ベイヤーフィルタという三原色(RGB)のフィルタが受光素子の前に搭載されています。ベイヤーフィルタを通して受光したRGB情報を基に、ベイヤー変換処理をすることで1pixelでRGBが表現でき、画像をカラー化することができます(カラー化されたデータは、モノクロに比べてデータ容量は3倍になる

モノクロは光のロスが極めて少ない

カラー画像の画素は、RGB補完によって作られる画素です。フィルタを通すことから、直接的に素子に受光できるモノクロセンサーと比べて受光感度低く(暗くなる)なります。また、偽色を防ぐためにアンチエイリアシングによって詳細をぼかす処理がされていることが一般的で、結果的に空間分解能が低くなります。

一方、モノクロセンサーの場合、上記のようなベイヤー処理をすることなく受光素子にダイレクトに光が入ります。これは、光のロスが極めて少なく、明るく撮影ができるということになります。

色情報が必要な画像解析でなければ、モノクロセンサーを用いたハイスピードカメラを推奨しています。


ハイスピードカメラに関するよくある質問

ハイスピードカメラのフレームレート(fps)とは?

ハイスピードカメラのフレームレートは、1秒間に記録できる静止画(フレーム)の数で、
fps(Frames Per Second)で表されます。
例えば、30fpsのカメラは1秒間に30枚の画像を撮影します。ハイスピードカメラは、数百fpsから
数百万fpsという、一般的なカメラをはるかに超える高いフレームレートで撮影が可能です。

フレームレートが高いほど、高速な動きをより細かく捉え、肉眼では捉えられない瞬間を
詳細に観察できます。
そのため、スポーツのスローモーション映像や、科学実験での現象解析など、
微細な動きの解析に広く活用されています。

ただし、高フレームレート撮影には、データ量の増大と撮影時間の短縮という課題が伴います。
また、十分な光量がなければ、映像が暗くなってしまうため注意が必要です。
用途に合わせて最適なフレームレートを選択することが重要です。

ハイスピードカメラで最速のものはどれくらいのfpsですか?

ハイスピードカメラで最速のものは、最大で1秒間に数十億フレーム(1,000,000,000 fps)に
達するモデルもあります。
これらは主に科学研究や特殊な産業用途で使用されており、例えば超高速の化学反応や
爆発の観察など、肉眼では捉えられない現象を解析するために用いられます。

ただし、一般的な産業用途やスポーツ分析用のハイスピードカメラでは、
1秒間に1,000〜100,000フレーム程度のモデルが多く利用されています。
選ぶ際には用途に合ったフレームレートを考慮することが重要です。

ハイスピードカメラのデメリットは?

1.高額な初期費用
ハイスピードカメラにはいくつかのデメリットが伴います。高額な初期費用がその一つです。
高性能なモデルほど価格が高騰し、特に高フレームレートを求める場合、コストは大幅に増加する
傾向にあります。

2.データ量が膨大になる
膨大なデータ量も無視できません。高フレームレート撮影では、生成されるデータ量が
飛躍的に増大するため、大容量ストレージが必要となりデータ管理や編集の負荷も高まります。

3.十分な光量が必要
高フレームレート撮影ではシャッタースピードが短くなるため、映像が暗くなってしまいます。
そのため、十分な光量が必要となり、追加照明や特殊なライティングが要求されるケースも
少なくありません。

ハイスピードカメラ導入にあたっては、これらのデメリットを十分に理解し、
必要な機能とコストのバランスを慎重に検討することが重要です。


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