ガラス脈理(ガラスの品質不良について)

ガラスの脈理とは?

脈理の画像パターン2
脈理の画像パターン1

ガラスの脈理とは、ガラス内部で他と屈折率が異なる部分に生じる、線状や帯状の不均一な部分のことを指します。見た目には均一な素材に見えるガラスも、微細なレベルでは構造は複雑であり、その複雑な構造内で生じるガラス製品の欠陥に分類されます。光学製品の場合、脈理はフレアなどの光学的な欠陥を引き起こす可能性があります。

ガラスの組成が異なる部分が混入することで生じる

脈理は、ガラスの製造過程での温度や組成の変動、またはガラスの組成が異なる部分が混入することによって生じます。具体的には、ガラスが冷却される際の温度変動や、原料の混合の不均一性などが原因となることが多いです。

表面はきれいでも 内部では模様が形成されている

脈理は、ガラスの中に線状や層状の模様として現れます。これは屈折率が異なる部分が連続して存在するため、光がその部分を通過する際に異なる角度で屈折することが原因です。その結果、ガラスの表面には何もないように見えても、内部には微細な模様が形成されています。


脈理を始めとするガラスの品質不良

スマートフォンのガラス
ビルのガラス

ガラスは、その透明性や硬さ、化学的安定性などの特性から、日常生活から産業分野まで欠かせない物質です。しかし、ガラス製品の製造過程や取り扱いにおいて、さまざまな品質不良が発生することがあります。これらの品質不良は、ガラスの性能や外観、そして安全性に影響を及ぼす可能性があります。

本サイトでは、脈理を始めとするガラスの代表的な品質不良の事例画像をご紹介いたします。事例画像は、カトウ光研が提案する「ガラス脈理検査装置FG series」を用いて可視化した画像になります。

➡ガラス脈理検査システムのカタログをダウンロードする


研磨痕・吸着痕・ウォーターマーク

研磨痕(case01)

研磨痕(case02)

研磨剤や使用される工具に起因する「研磨痕」

研磨痕は、ガラスの表面を滑らかにするために行われる、研磨プロセス中に生じる微細な傷や痕跡のことを指します。これらは主に、研磨工程で使用される研磨材や工具、または研磨技術の適用方法に起因するものです。

ガラスの研磨はその表面を整えたり、不要な欠陥を取り除いたりするために重要な工程であり、光学レンズや鏡、窓ガラスなどさまざまな製品で行われています。

研磨痕が生じると、ガラスの透明度が低下したり、光が散乱されたりすることで、製品の光学的な性能に影響を与えることがあります。例えば、光学レンズに研磨痕があると、レンズを通過する光のパターンが変わり、結果として画像の品質が低下する可能性があります。

また、装飾的なガラス製品においては、研磨痕が外観を損ねることによって製品の美観や価値を減少させることもあります。

異物や汚れの付着による「吸着痕」

吸着痕は、ガラスの表面に異物や汚れが付着してしまい、その後に除去された際に残る微細な痕跡や跡形を指します。この現象は、ガラス製品の製造過程や後の取り扱いの際に発生し得るもので、ほこり、油分、化学物質、指紋、またはその他の汚れがガラス表面に付着して引き起こされます。これらの吸着物は、時に強固に固着し、単純な洗浄では容易に取り除けない場合があります。

吸着痕の存在は、ガラスの光学的品質や美観に影響を及ぼす可能性があります。具体的には、ガラスの透明度が低下したり、視認性が損なわれたりすることで、製品の機能性や外観が損ねられます。例えば、窓ガラスや光学レンズ、ディスプレイスクリーンなどの場合、吸着痕は視界を妨げたり画質を低下させたりする原因となり得ます。

乾燥後の不純物の痕跡「ウォーターマーク」

ウォーターマークは一般に乾燥痕とも呼ばれ、ガラス表面に水滴や湿気が付着し、その後乾燥した際に残る痕跡のことを指します。この現象は、ガラスの洗浄プロセスやその他の取り扱い過程で、水分が完全に拭き取られずに残った状態で乾燥することによって生じます。水分が蒸発する際に、水に含まれていたミネラルやその他の不純物がガラス表面に残留し、特有の痕跡を形成します。

ウォーターマークの形成は、ガラス製品の美観に大きく影響し得る問題です。特に、窓ガラスや鏡、自動車のガラス、装飾用ガラスなど、透明性が重要視される製品において、その影響は顕著です。光が当たると、これらの痕跡はより明瞭に見え、ガラスの透明度や全体的な外観を損ねる可能性があります。


オレンジピール

オレンジピール

オレンジピールは、ガラスや他の材料の表面に見られる特定の欠陥のことを指します。この名前は、その特徴的な外観がオレンジの皮のような凹凸に似ていることから名付けられました。

オレンジピールは、製造過程での温度変動、材料の混合の不均一性、または研磨時の技術的な問題など、さまざまな要因によって発生することがあります。特にガラスの研磨面に生じることが多く、丸みを帯びた無数の凹凸として現れます。


気泡群

気泡群の画像

気泡群

気泡群画像処理済みの画像

SS Viewerで画像処理した気泡群

ガラスの光学的性能に影響を及ぼす気泡群

気泡は、ガラスや他の材料の中に見られる小さな空気の泡を指します。これはガラスが固まる過程で、中に巻き込まれた空気が抜けずに形成されるものです。ガラスの製造過程、特に溶解したガラス素材に不純物が含まれている場合や、成形時にガスなどが発生することで気泡が生じることがあります。また、炉内でのガラス原料の溶解過程で一連の化学反応が起こることで、大量のガスが放出され気泡として残ることがあります。

気泡は、ガラスの光学的な性能や外観に影響を及ぼす可能性があります。特にレンズやプリズムのような透明な製品では、外観の不良や光学的な特性の低下を引き起こす原因となります。

※画像処理に使用したソフトウェア「シュリーレン専用画像処理ソフトウェアSS Viewer」

ろうそくの熱流体を可視化_シュリーレン法とは

【関連記事】
シュリーレン法とは|密度勾配を可視化する原理の解説から現象動画まで【技術コラム】

シュリーレン法とは、透明体の中に屈折率の異なる部分があるとき、光の進行方向の変化を利用してその部分が明確に見えるようにする光学的手法です。媒質中を伝播する衝撃波や超音波の進行状況、炎による気流の上昇...「シュリーレン法とは」続きを読む


成長縞・回転双晶

成長面にほぼ平行な濃淡の縞があらわれる「成長縞」

成長縞は、結晶が成長する過程で形成される層状の構造を指します。この現象は、結晶成長の過程での環境条件の変動や材料の供給速度の変化などによって生じることがあります。

具体的には、成長面にほぼ平行に濃淡の縞が見出されることが特徴として挙げられます。成長縞は、結晶の光学的な性質や物理的な性質に影響を及ぼす可能性があり、透明性や光学的な特性に関わる場合が多くあります。

結晶領域が特定の軸を中心にして発生「回転双晶」

回転双晶は、結晶内部に存在する2つの結晶領域が特定の軸を中心に回転した関係にある双晶のことを指します。現象自体は、結晶成長の過程で核生成の段階や成長条件の変動によって生じることがあります。

回転双晶は、結晶の内部で異なる方向性を持つ2つの結晶領域が存在することを示しています。これらの領域は、特定の軸を中心に一定の角度で回転しており、この回転の角度や軸の方向によって、回転双晶の種類や特性が異なる場合があります。

回転双晶があると、結晶の物理的、光学的な性質に影響を及ぼす可能性があります。特に光学的な性能や電気的な性質に関わる場合が多く、材料の強度や耐久性にも影響を及ぼすことが考えられます。

➡ガラス脈理検査システムのカタログをダウンロードする


製品に関するお問い合わせや技術相談を当社スタッフがお受けいたします。
※お電話でも受け付けております。
☎0463-91-1281
9:00~18:00(土日祝日を除く)

関連製品

ガラス脈理検査装置FG_series製品写真
ガラス脈理検査装置FG series

ガラスの脈理を見える化

溶接中シールドガス可視化システムShield_View製品写真
溶接プロセス可視化Shield View

溶接中のガスを見える化

動画画像処理ソフトKM2_0製品写真
動画画像処理ソフトKM2.0

動画データを一括で画像処理

ハイスピードカメラflux_k-240製品写真
ハイスピードカメラflux k-240

解像度1280×1024時 1,000fps
最高撮影速度:40,000fps

ハイスピードカメラPhantom_VEO_series製品写真
ハイスピードカメラPhantom VEO series

解像度1,280×960時 10,860fps

ハイスピードカメラ製品ラインナップ製品写真
ハイスピードカメラ

ハイスピードカメラ製品ラインナップ

サポート

製品のデモ、お見積りについてなどサポート全般のご紹介。

計算サイト一覧

可視化や画像分析に役立つ計算を行います。

カトウ光研公式ユーチューブチャンネル

製品のサンプル動画と可視化事例のご紹介しています。

会社ロゴ
会社ロゴ
お問い合せ・技術相談
Tel.0463-91-1281
受付時間 9:00~18:00(土日祝日を除く)

Copyright (C) カトウ光研株式会社 All Rights Reserved.