自動車製造では、研究開発・製造管理・品質管理など多くの工程でコスト低減が求められます。コスト低減や生産効率の改善を目指す上で、様々な可視化技術が検討されています。
特に自動化の進む塗装や金属プレス、溶接の工程では原因が特定できない不良の発生も多くあり、解明に可視化技術が役立てられています。
どのような不良が発生しているか?そのプロセスを可視化することで、不具合発生の解決方法へ最短距離で到達することができます。不良対策にかかる工程を省けるだけでなく、生産そのものの効率改善にも結び付けることが可能です。
本サイトでは、自動車製造で活かされる可視化技術を紹介いたします。生産効率改善に寄与する様々な事例をご参考ください。
自動車業界の溶接に用いられる手法も用途に合わせて様々です。アーク溶接からレーザー溶接、直流スポット溶接など数多くある中でそれぞれ品質を高める技術は異なります。
また、工場の生産設備では自動化が進んでおり、生産効率を高めるために溶接ロボットの高精度な制御が可能となっています。しかし、溶接プロセスそのものには、まだ未解明の不良発生原因が多くあります。
【アーク溶接からレーザー溶接への切替】
アーク溶接からレーザー溶接へ切り替えが進んでいく中で、解決しなければならない技術的課題が数多くあるのが現状です。その対策として、溶接箇所や流体現象の可視化技術は大変有効な手段となります。
ここでは、強力なプラズマ光が発生している中でその強い光を打ち消し、鮮明に溶接プロセスを撮影する技術「溶接の可視化」をご紹介いたします。
レーザー溶接では、プルームの発生により焦点シフトやヒュームによる光吸収でパワーが減衰します。対策として、溶接プルームをサイドノズルからエアナイフで吹き飛ばし、プルームの成長を制御して焦点シフトや光吸収を防いでいます。
溶接の可視化では、ノズル位置が適切かどうか?実際のプロセスから効果を確認できます。ガス種による効果の違いや流量・角度・溶接速度など、条件の違いによる変化も可視化することができます。
➡「溶接中プロセス可視化システムShield View」カタログをダウンロードする
レーザー加工で発生したヒュームは、レーザー光を減衰させるだけでなく、出射口への付着で品質を著しく低下させます。また、溶接ヒュームは塵肺を引き起こすため、作業者の労働安全衛生上でも管理が重要です。通常、集塵機による対策を行いますが、集塵の効果を検証するのは容易ではありません。さらにスパッタを集塵機で吸引してしまった場合には、火災発生などの重大な事故にもつながる可能性があります。
カトウ光研の可視化技術では、ヒュームの発生から集塵プロセスの最適化、スパッタの発生状況を直接目で確かめることで影響範囲の見極めを同時に行うことができます。
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TIG溶接中のシールドガスを可視化した事例です。取得した画像からPIV(粒子画像流速測定法)でシールドガスの流れを計測しています。溶接中のアーク周辺に存在するプラズマ気流の傾向を可視化して、シールドガスの状態を評価しています。
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お役立ち資料【プレゼンにも使える】
「溶接の可視化とは|溶接を可視化するメリットと必要なツールを解説」
「溶接を可視化する」とはどういう事か?何を可視化できる?など可視化の原理やメリット・必要なツールまで解説します。溶接の品質向上、コスト削減につながる”可視化技術”の概要をつかむのに最適です。資料をダウンロードする
溶接時間が短く、高品質、薄板の溶接に最適なスポット溶接を可視化しています。動画ではハイスピードカメラを使用して、側面から5,000fps(1秒間に5,000コマ)で撮影。
チップで薄板を挟み込んだ加圧状態から、通電を開始した約60ミリ秒程度でナゲットが形成。その後、スパッタが飛散していく様子が可視化されています。
ナゲットの状況から、電流と電圧が適正か?また、溶融金属の状態から保持加圧時間が冷却に対して適正か?など検証が可能です。
塗装工程のブツや金属プレス時の異物は、製品の不良へ直結するため、異物の対策は品質とコスト面で大変重要です。カトウ光研の可視化技術では、各工程における発塵源の特定、浮遊する異物を実際に見える化して対策のお手伝いをします。
異物は製品への影響だけではなく、作業者への健康被害(塵肺、肺気腫、喘息)を発生させる恐れもあり、労働安全衛生の上でも適切な対策が望まれます。発生させず、持ち込ませない(異物の発生と浮遊のプロセス)の実現を可視化技術で提案いたします。
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自動車のボディを成型する金属プレス加工で、切削された際に発生する金属粉を金型が巻き込むことで発生する不良があります。
プレス環境は、異物による不良発生を減らすために適切な吸塵・除塵が重要です。生産工程で異物が巻き込まれる箇所を可視化によって特定することで、不良発生の軽減に貢献します。
➡異物の発塵・浮遊・堆積・再飛散を見える化するシステム一式のカタログをダウンロードする
撮影協力:産業技術総合研究所 エネルギー環境領域 電池技術研究部門 坂本 太地 様
FFU(ファンフィルタユニット)が設置されたドライブースでの可視化事例です。イオナイザー(除電)の有無で、電池材料の挙動を比較しています。
除電しない状態では、容器へ入れた異物が舞い上がり、周囲へ飛散していく様子が可視化されています。飛散する異物の挙動を見ながら、機器の設置位置、電圧の最適化を検討できます。
レーザー加工やプレス・切削などの工程では、プッシュプル方式の集塵が一般的です。この時、集塵位置はシミュレーションで検討されることが多くあります。しかし、実際の現場では異物の再飛散で、不良・汚染につながることも少なくありません。
「微粒子可視化システムParticle Viewer」で異物が飛散する様子を時系列で確認すれば、集塵の位置、集塵レベル、ブロワー位置の最適化を検討できます。
自動車は”流体力学を考えずには走らない”という考えがあります。ボディーは流体力学に基づいて設計され、ダウンフォースを得やすく、空気抵抗が小さいことが理想で、これは走行の安定性や燃費向上につながります。一方で、デザイン性も重要であり、空力特性のみを活かしたデザインが最適とは言えません。
カトウ光研では自動車製造における要素研究として、下記の検証に可視化技術を提案しています。
また、Case、Maasといった、車の”自動化”や”在り方”の変化に伴い車載電子機器の重要性は高まり続けています。特に自動運転に欠かせない要素として、レーダー・パーキングセンサー・画像認識システムの研究に可視化技術を提案しています。
風洞に設置された車両モデルのリアウイングの空力性能を評価しています。リアウイングは、上面と下面で流れる空気の速度を変えることで、ダウンフォースを発生させています。
上記の動画は、ダウンフォースの効果を検証するためにPIV(粒子画像流速測定法)で計測した映像です。算出された速度ベクトルから、リアウイング下面に流れる空気が上面を流れる空気よりも速いこと分かります。
➡画像から流体の速度を算出-PIVシステム一式のカタログをダウンロードする
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塗装ブースの気流を管理することは、塗装の品質と効率を高めるための鍵となります。しかし、その気流は目に見えないため、その動きを理解し、最適化するのは一筋縄ではいきません。
PIV(粒子画像流速測定法)による気流解析では、塗装ムラを生じさせやすい箇所の発見や確認・検証が可能です。
使用機材
撮影協力:東京工業大学 未来産業技術研究所 中村研究室 田中 宏樹 先生
市販品のパーキングセンサーおよびボルト締めランジュバン型振動子(BLT)の進行波を撮影した様子です。独自の画像処理技術を組み合わせることで、疎密波の反射や波面形状、波面の角度を可視化することができます。
➡超音波を可視化するシステム「システムシュリーレンSS series」のカタログをダウンロードする
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