
本製品は、溶融箇所でどのようにスパッタ(ヒューム)が発生しているか?可視化撮影ができる光学システムです。
スパッタとはレーザーにより溶融した金属から発生する数μの微細粒子で、大粒な粒子は金属表面に再付着し加工品の品質を下げます。
スパッタより小さく蒸気状になったものはヒュームと呼ばれ、周辺大気を汚染し健康被害の原因になります。
また切断においてワークの加工部裏面に付着したものはドロスやノロと言われスパッタ同様、付着時は除去工程が必要となります。
レーザーや母材、アシストガスなどの諸条件によりスパッタがどのように発生し挙動するか?可視化撮影するだけでなく、画像処理により数値化した評価で最適な条件出しが可能です。
熱影響の少ない高品質な仕上がりのレーザー溶接ですが、プルームやヒュームが原因で焦点シフトが発生し溶け込み不足を起こしたり、光学系やノズルへの付着によるメンテナンスコストが増大したりとスパッタ発生により品質以外にも問題を抱えています。
溶接スパッタ可視化システムでは実測で観察評価ができます。
諸問題が発生している現場環境そのままに、溶接条件の様々な検証ができる唯一の製品となっています。
溶接中にレーザーや母材、アシストガスなどの諸条件によりスパッタがどのように発生し挙動するか? 条件出しが可能になりました。
レーザー溶接ではプルームやヒュームによるレーザー出力の減衰が起因する焦点シフトによる溶け込み不足やレーザーの高出力化によるスパッタ発生が品質を低下させてしまう問題を抱えています。
実測で観察ができる「溶接スパッタ可視化システム」ではアシストガス由来のポロシティやブローホール、ヒュームやプルームの制御、スパッタ発生タイミングなど品質を向上させる溶接条件の検証ができます。
①吸塵口にヒュームが適切に吸われている様子
②アシストガス流によりワークを汚染し、吸塵されずそのまま周辺へまき散らされている状況
③アシストガスの位置ズレや流量不足でヒュームが立ち昇り、レーザーの焦点シフトが起きやすい状況
スパッタはレンズに付着するとコンタミ層がエネルギーを吸収し破損につながります。
また、ノズルへ付着すると気流を乱してアシストガスの流量不足を引き起こします。他にも浮遊しているスパッタが加工装置や周辺を汚染し、実は施設内に設置している製造装置などの故障原因になっている事例もあります。
スパッタの発生や飛散を抑制することは、様々な故障要因につながるので、メンテナンス時間を削減し生産効率向上を図る上では不可欠です。
溶接スパッタ可視化システムで撮影した画像をPIVで画像解析ができます。
取得した画像から速度ベクトルを算出し対象エリアの流れ場を把握できる画像解析です。
シュリーレン画像から速度場を解析するのでSIV(Schlieren Image Velocimetry)とも呼ばれます。
見かけ速度を算出してアシスト条件、集塵機条件によるスパッタ挙動の違いを数値化することで、スパッタの制御を画面の変化でいちいち判断するのではなく、誰にでもわかりやすいベクトルマップで表現でき、効率よくデータの判断が行えます。
*PIVについてこちらで解説しています >PIVとは
*PIV解析に使用するソフトウェアはこちら >PIVソフト Flow Expert2D2C
*スパッタを可視化するためのレーザーシート光源はこちら >PIV Laser KLDシリーズ